旅の途上で

私の旅の記録です

2013年の夏休み②<北海道(道南)編>

<函館散策>
夕方のまだ明るい時間帯に久しぶりに五稜郭タワーに登ってみた。天気も良くて五稜郭の星の形が鮮やかに見えた。

逆方向の函館市街地の向こうには、少し逆光でこんもりと函館山が見えている。

夜景では、函館山からの市街地の光の広がりは知られているが、裏夜景とよばれている反対側の高台からみる函館山を背にした市街地の夜景も美しい。

谷地頭温泉は、函館市電の終点の谷地頭駅から歩いて5分程度のところにある。函館に来ると必ず一度は入浴することを楽しみにしている。いつのまにか町営ではなくなったらしい。建物の看板からも町営の文字だけが外され、谷地頭温泉とだけになっている。ここの温泉は赤茶色をしていてタオルの色が変色してしまう。また高温浴が好きな人にはたまらない。無理してでも熱い湯船に入ることにしている。

函館市電、ずいぶん車両が新しくなっていて、古い車両はどんどん減ってきている。一日きっぷは断然お得であるので、それを使って自由に乗りまわる。まれに古い車両に出くわすと嬉しくなる。板張りの床や、窓の形など、いい味を出している。

<岩内からニセコ。そして登別カルルスへ>
岩内の高原にあるホテルに宿泊。そこからは市街地を見下ろすことができる。そしてその向こうの海を挟んだ対岸に泊原発が見える。

翌朝、特に岩内で行くところもなかったので、北海道電力原子力発電所のPRセンターであるとまりん館の見学に行ってみた。

次にニセコ方面へ向かう途中にある、1985年に廃止になった旧JR岩内線の幌似駅の鉄道記念公園に立ち寄った。廃止後30年近く経過しているにも関わらずきれいに整備されている。地元の人たちの心遣いだろう。昔の日本は全国津々浦々に苦労して鉄道を敷設してきた。悲願の鉄道開通を実現した地域がやむなく廃線に追い込まれた例は数知れないが、廃止された後も、地元の駅をいつまでもこういうきれいな形で残されていることを嬉しく思う。

ジンギスカンを食べたいと思い始め、倶知安駅近くで店をさがした。お店が開いていた普通の焼肉屋ジンギスカンを食べたが結構おいしかった。

ニセコでの日帰り入浴は2か所。五色温泉薬師温泉である。どちらも秘湯として知られるが、どちらの温泉も札幌に暮らしていたころは、毎週のようにオートバイや、ダットサンピックアップトラックニセコの温泉巡りをしていたので、入浴回数は数えきれない。
五色温泉は一軒宿のニセコ五色温泉旅館がある。昔はボロボロで味わいある温泉宿であったが、その後に何度かの改装を重ねてきた。いまでも年に一度程度は訪問しているが、この五色温泉のお湯はいつ入っても素晴らしい。かすかな硫黄のにおいと、少しだけ薄く濁っているがほぼ透明のお湯が肌にやさしい。

薬師温泉にはここ何年も行っていなかった。ここの旅館はとにかく特徴がある。透明のお湯と茶色く濁った温泉の2か所ある。透明の方は、足元から自然に温泉が湧出しており、ぶくぶくと気泡が上がっている。泉温はぬるめで長湯をする必要がある。濁り湯は、もともと混浴の湯船であったものが一度仕切られたが、今はまたその仕切りが外され混浴になっている。同じくぬるめのお湯である。確かにお湯は素晴らしいと思う。秘湯ファンにはたまらない。しかし建物が今にも崩れてしまいそうなくらい傾いている。中に入って奥の部屋の方に行くとその傾きがよくわかる。入浴中に屋根が落ちてこないか・・・。その他にも理由がいくつかあるが、この宿に宿泊したいと思ったことはない。

ニセコの昆布から内浦湾方向に走り、洞爺湖南側の湖畔を東へと走る。オロフレ峠は北海道には珍しい比較的急カーブが連続する峠である。20年以上前にオートバイで逆方向に走って以来の二度目であるが、ずいぶん道がきれいに整備されていた。峠を越えて降りて行ったところにカルルス温泉がある。

函館本線渡島大野駅
この駅がやがて北海道新幹線新函館駅になる。そのことを知ってからこの駅を訪れるようになった。今回で3度目か4度目の訪問になるのだろうか。いつも車で立ち寄っていて、本来の列車に乗って、この駅に降り立ったことはない。いよいよ工事が着手されていて、当時の駅舎はなくなっていた。ホームの様子だけはそのままの形で残されている。全く無名だった駅が一躍有名な駅に変わっていこうとしている。
走ってきた1両の気動車がホームにとまり、また走っていく。静かな駅でディーゼルの音だけが通り過ぎていく。乗降する人もいない。そんなのんびりした光景を見ることができる。そういう場に自分がいることをしあわせに思ったりする。


北海道新幹線開業まで、あと最大959日


工事風景(旧駅舎方向)


下りホーム(長万部方面)。跨線橋の黒くなっている部分は、蒸気機関車時代の名残ではないかと思われる。


駅名板


上りホーム。きちんとした舗装がなされていない。


単行の気動車(キハ40)

江差線
北海道に残るローカル線の中であるが、いよいよ廃止の時が来たかという感じである。新幹線と平行する在来線は廃止や第三セクターで存続するかの選択となる。この江差線木古内駅から終着駅の江差駅の間は、来年2014年の5/12に廃止になることが決まっている。
新しく生まれる鉄道もあれば、消え去っていく鉄道もある。使命を終えた鉄道は、駅舎を解体され、線路を撤去され、そこに雑草が生い茂りだし、木が生育していく。そこに鉄道があったことがわからなくなっていく。
木古内から江差駅を含めて9つの駅が存在する。廃止になる前にそれぞれの駅の表情を記録するために、まずは一駅ひと駅に訪れて写真を撮っておくことにした。もちろんレンタカーでの移動である。一日数本の列車本数ですべての駅に下車することはできない。


神明駅


天の川橋梁(湯ノ岱〜宮越間)


宮越駅

撮影後は函館まで戻ってレンタカーを返却し、改めて函館駅から列車に乗って江差を目指した。残念ながら時間の関係で、木古内までは特急に乗車し、木古内江差までの往復のみ普通列車の乗車となった。
この江差線を往復するのは2度目である。やはり鉄道旅行を楽しむのはその列車に揺られて、車窓の風景、窓からの風、車内の雰囲気、振動、音などいろんなものを感じながら移動することが楽しい。
それと、移動中の楽しみに加えローカル駅での乗り換えも楽しい。待ち時間が長くてもそれなりの時間の過ごし方がある。2時間も3時間も何もやることのない待ち時間。そんな贅沢なひとときが素晴らしい。そういったローカル線は全国でも激減している。
この江差線は北海道に残された最後の路線のひとつといえる。廃止になる日までにもう一度来ることができるだろうか。冬の江差線にも乗っておきたいが・・・。


函館駅にて。廃止の記念切符の案内。廃止が記念というのも寂しいが・・・


乗車列車。差し込み式のサボも減りつつある


江差線の終着駅「江差


江差駅にて。もうすぐこういう光景も見られない


木古内駅。新幹線開通の期待が込められている


青森駅に到着

<その他の写真を少し>

地球岬(室蘭)。晴天でよかった


不思議な建物・・・たまたま見つけた室蘭市立の小学校(正門側)


(グランド側)

(次回へつづく)