旅の途上で

私の旅の記録です

八重山諸島の有人島、完全踏破!

一昨日、沖縄では平年より5日遅く梅雨入りしたとのこと。
奄美地方は昨日、梅雨入りしたらしい・・・

この前のゴールデンウィークは沖縄の八重山諸島で過ごした。那覇2泊、波照間島3泊、石垣島2泊、小浜島1泊。旅の目的は大きく2つ。波照間島に行きたくなったこと。それと、小浜島新城島に今回初めて足を踏み入れることにより、八重山諸島有人島を踏破すること。これで石垣島竹富島小浜島西表島鳩間島、黒島、新城島波照間島与那国島のすべてに行ったことになる。特に全ての島に行こうと意識してきた訳ではなく、何度も同じ島に行ったりしていたが、気付けば2島を残すのみとなっていた。

波照間島
日本最南端の有人島として、日本人なら誰もが一度は行きたいと思う島(本当か??)。2008年5月以来の2度目の訪問となった。

集落は昔ながらの赤瓦屋根の民家、サンゴ石の石垣、フクギの木々がいわゆる沖縄らしい雰囲気を漂わせる。このフクギのにおいも独特で、初めは何のにおいかなと思っていた。時間がゆっくり流れている。こういう場所に自分がいることを嬉しいと感じる。何も観光化されていない、普通のくらしを感じることができる集落の中にいる。そして、集落の中心部には大きな広場があって、それを見渡すのに適当な石の上に座って、のんびりとオリオンビールを飲むのが気持ちいい。5年前と何も変わっていない。変わっていたのは、この広場の片隅に建っていた“波”のマークが素敵だった波照間公民館。それが残念ながら新しく建て替えられていたことぐらいかな。

最南端の碑がある場所。やはり感動する場所である。ここからどこまでも広がる太平洋を眺める。でも足元の断崖絶壁に打ち寄せ舞い上がる波もすごい。高さはそれほどでもないが、絶壁の入り江は打ち寄せる波の泡で真っ白になっている。この辺りの空間は広々としていて気持ちがいい。夕方にもう一度訪れてみた。長い時間ぼーっと海を眺めたり寝転んだりしていたが、雲行きが怪しくなってきたので少し慌てて最南端を後にした。

ニシ浜の海はハテルマブルーと呼ばれ、天気が良ければ誰もがその美しさに見とれるだろう。その見た目の美しさに加え、シュノーケリングでも海の中のサンゴと美しい魚が楽しむことができる。沖合は潮の流れが速いとのことなので注意はいるが、ビーチエントリーで気軽に楽しむことができる。暑いからと裸で泳いでいたら、沖に泳いで行くまでの浅瀬のさんごにお腹がすりそうになったり、背中が真っ赤に焼けてしまった。海は危険なので、翌日はラッシュガードを着用して、グローブをして完璧な格好でシュノーケルを楽しんだ。

郵便局がなぜか大好きで、全国各地の郵便局の前を通るとたまに撮影している。波照間郵便局は最南端の郵便局。と言ってもここではなんでも最南端。最南端の派出所、商店、学校・・・。最南端の自動販売機というのもある。波照間郵便局では最南端の風景印を押してくれるので、旅先から出す手紙もいいかも知れない。

「泡波」は極めて入手しにくい泡盛と言われている。島の中でも100ml小瓶以外の入手は難しい。でも宿や島の数少ない居酒屋で気軽に飲むことができる。600ml瓶が2,000円というのが相場と思われる。居酒屋の棚には泡波だらけ。そういう環境の中で飲む「泡波」。本当に飲みやすい。とても贅沢な心地よい時間が過ぎていく。少し余ったので宿の部屋でも続きをやる。波照間酒造所で「泡波」を製造している。開いていたら、ひょっとしたら買えるかも・・・という淡い期待はあったが、連休合間の平日でも扉は閉じられたまま。開栓していない新しい「泡波」は、現地でもなかなか手に入らない。「泡波」はこの島に来て、ここで思う存分楽しむためのお酒なのかなあと思った。「泡波」の名前の由来は、昔「粟」で酒を造っていたところからとの説があるが、本当はひょっとしてあの最南端の白い波の泡ではないかと勝手に想像する。

この時期の晴天の夜、深夜に月が出るまでは、満点の星と南十字星をみることができる。3日目の夜にようやく見ることができた。集落の南側に光が全くないという地元で有名な道があり、本当に全く何も見えない道を感覚で歩いていく。しばらく歩くと南の水平線近くに十字の先を示す4つの星が見える。他の多くの観光客も、この真っ暗な道の上のあちこちで寝転がったりしながら夜空を眺めていた。長くいるとなんとなく目が暗闇にも慣れてくる。写真撮影を何度か試んだが、コンパクトデジカメの手持ち撮影では写らない。しっかりと目に焼き付けておいた。

最終日の石垣へ戻る日は朝から雨。一日で4便あるうち2便目以降は欠航すると宿の人から話があった。どうしても今夜は小浜島に行きたかったので、慌てて1便に乗り込んだ。しかし防波堤を出たころで少し後悔、そしてさらに後悔していく。経験したことのないほどの大波に激しく打ちのめされ始めた。転覆したら終わりかなと真面目に思っていた。満員の乗客の多くは、船員の方が配りにきたビニール袋を片手に長くつらい時間を過ごすことになった。ほとんど酔わない自分もアウト。通常70分の航路が2時間10分かかってようやく石垣島の離島ターミナルに到着。生きていて良かった!今回の旅で強烈に思い出に残った最大の出来事だった。

波照間への旅は、行程の初めに入れて、場合によっては延泊できる余裕をもつこと。そしてハテルマブルーと南十字星を期待するなら最低でも3泊は必要であると思う。また数年後に行こうと考えている。


小浜島
この島には苦い思い出がある。
昨年の同時期(2012/5)に八重山諸島に行ったときに、石垣島から日帰りで小浜島に行く予定をしていた。それは連休最後の3日間の祝日が続いたときで、石垣島の市街地中心部の金融機関では都市銀行のカードを使って現金をおろすことができなかった。八重山郵便局はメンテナンスによるシステム停止、沖縄銀行八重山支店、琉球銀行八重山支店、沖縄海邦銀行八重山支店、ろうきん八重山支店も連休中は他行のカードが使えずダメだった。帰ったら沖縄の銀行口座を作ろうとも思ったくらいだった。ということで現金しか使えなさそうな小浜島に行くことを断念した。その夜は、たまたまクレジットカードが使える竹富島の宿だったので、船の切符もクレジットカードで買うなどして、できるだけ現金を使わず、なんとか最後の八重山の旅を終わらせることができた。最終日の那覇の街ではコンビニでお金を下ろすことができ、やはり都会だなと感じたひとときだった。そんなこともあって前回行けなかったので、できれば今回は行きたかった。

小浜島NHK連続テレビ小説ちゅらさん」で有名だが、自分は行ったことがなかった。今回は以前(25年も前から)から気になっていた「はいむるぶし」に泊まってみた。ここはヤマハが開発した古いリゾートホテルであり、のちに三井不動産系に経営が変わっている。安いプランを探して宿泊したが、結局夜の食事で、普通の温泉旅館1泊2食並みの金額となった。ちょっとした贅沢な気分を味わった。小浜島にはもうひとつ大きなリゾートホテルがあり、小浜島八重山諸島の中のリゾート開発された島という印象を持っていた。
天気は今一つだったが、レンタカーで島内をくまなく周った。と言っても小さな島で、島のほとんどの道を走りつくした感じ。島の西側に大きな山が見えるが、でもそれは対岸の西表島の山。なんか変な感じがする。島の西側の半島の先にある細崎の海岸からヨナラ水道を挟んでその西表島が近い。ここでものんびりと過ごした。
小浜島の島の中心部に小さな集落がある。ここも観光化されていない集落である。のんびり歩くにはいい集落であるが、道が狭いのでレンタカーを止めるスペースもなく、仕方なくのろのろ運転で集落内のいろんな道を走っていた。
島で最も高い山が標高99mの大岳(うふだき)、その展望台からの眺望は、それほど天気は良くなかったにもかかわらず、与那国島を除く八重山諸島のすべての島を眺めることができた。天気がよければきっと海の色も素晴らしいのだろう。北側は廃墟になった大規模リゾート施設と、北東方面には嘉弥真島(かやまじま)が眺望できる。そういえば、この島には行ったことが無い。でもここは一応無人島なので対象外と自分で決めている。
島を離れるとき、港の売店で珍しい黒ごま塩の小瓶が売られていたので、それを自分のためのお土産として買った。
行ってみてわかったが、小浜島は想像していた観光化された島ではなかった。リゾート開発されている土地以外は、この島も他の八重山の島と同じ風が吹いている。

新城島
あらぐすくじまとか、パナリ島と呼ばれる。定期船がないので、石垣島からのシュノーケリングツアーを利用した。これを利用すれば、というかこういうツアーを利用しなければ新城島に上陸できない?

ビーチエントリーのツアーだったが、それほど沖まで泳がなくてもサンゴを見ることができる。魚の種類はもうひとつという感じだった。天気は曇りから雨に。小雨の中のシュノーケリングはあんまり楽しいものではない。晴れていれば、海の色も美しく、水中も明るい。本当に海の色は空の色次第だと感じる。絵葉書の写真で見るような青い海と青い海を想像していただけに、ちょっと残念ではあった。また沖縄のシュノーケルツアーはウエットスーツを着せられるか、ライフジャケットを着せられる。大して潜れないが素潜りもできず、ぷかぷか浮いているだけであまり面白くない。とか色々思いながら泳いでいた。ただこの島に上陸するという目的だけは達成できた。
しかし正確には、一言で新城島と言っても、上地島下地島の2島で成り立ている。この島の間は420mあり、干潮時には水面上に表れて歩くことができるとのこと。自分は上地島への上陸をしたが、一応新城島に上陸したことにした。


<最後に、石垣島のことを少し・・・>
今年の3月7日に開港した新石垣空港。これまでの石垣空港からと比べて市街地までの距離は遠くなった。空港〜市街地への路線バスは白保の集落を経由するが、タクシーやレンタカー会社の送迎バスが通る近道がある。レンタカーで走っていた時に偶然にも見つけることになった。空港から市街地へ向かう国道を途中で右折する。ちょっとわかりにくいが、道を知っている地元の車の交通量が多いのでわかる。するとそこには沖縄では珍しい直線道路が伸びていてそれなりに感激する。それを走りぬくと今度は丘陵の上のさとうきび畑を貫く快適な道を走ることになる。小浜島の「シュガーロード」と呼ばれる道は、さとうきびも少なく違和感があった。それでこの道を勝手に「石垣シュガーロード」と名付けさせてもらった。

もう一つ。石垣島最北端の平久保崎は、石垣島での自然景観の中で一番気に入っている。川平湾も確かに美しい。でもかなり観光化されている。それに対し平久保崎にはそれが無い。灯台を見下ろす展望所の、あの高いところからの空間の広がりが気持ちいい。
今回残念だったのは、その展望所の後ろにある岩山に登ることを禁止する立て看板があったこと。そこを登って、さらに高い岩山の上の石の上に座って、風を感じながら風景を見ているのが気持ち良かった。その空間の広がりが素晴らしい。立て看板を見ないふりして登って少しだけその気分を味わったが、他の観光客の目が気になって、そそくさと降りてしまった。国内の他の地域にも同じような感じで、以前は行けたところが危険だとか、自然が失われるとかで行けなくなっていたりして非常に残念に思う。


<最後の最後にもうひとつ>
由布島(ゆぶじま)を有人島の一つとして数えるのかどうか。あの島は西表島にちょこんとついているような小さな島で、観光用の水牛車で島を往復している完璧な観光目的の島と思っている。以前(2008/4)、ここの駐車場で、渡ろうかどうかとレンタカーを止めて迷っていたら、車の停車の仕方にも問題があったのだと思うが、水牛車の管理をしている人に怒られてしまった。気分を悪くしたので、あんな島に渡るか!と思ってからは、その後もこの島に渡ろうと思ったことがない。この島は海流によって堆積した砂でできた小さな島であり、潮位が低いときは西表島から歩いて渡れる(だから観光用に水牛車で渡れる)。このように他の島とは明らかに違うので対象外と考えている。
そもそもこんな風に、こういう島に行ったとか、行ってないと言うのは自己満足の世界の話であり、誰に認めてもらうものでもない。自分としては、由布島は対象とせず、やはり今回が八重山諸島の完全踏破と考えたい。